2022年04月29日

額に汗せず生計を立てる者(高利貸)

「神曲」地獄篇 ダンテ著  平川祐弘訳 河出文庫 読了。

地獄の圏谷(たに)と罪を記しておく。

地獄の9つの圏谷(たに)と罪 

第一の圏谷 リンボ 受洗しなかった人

第二の圏谷 肉欲→地獄の飈風に吹き回される

第三の圏谷 大食→怪物ケルベロスに食らい散らされる

第四の圏谷 貪欲と浪費→円周状の道の上を重たい荷物を転がしながら
               互いに逆方向に向かって進み、出会い頭に罵り
              殴り合い、を繰り返す。

第五の圏谷 下層界デイースの市(まち)へ 怒り→ステュクスの沼で泥まみれに
                なり猛り狂う

第六の圏谷 異教異端の徒→派毎に埋められて焼かれる(火を噴く墓)

第七の圏谷 暴力

  第1円 他人に対する暴力:殺人強盗→血の河プレゲドンで熱湯責め
  第2円 自己に対する暴力:自殺、蕩尽(とうじん)→節くれてひね曲がった樹と
            なる(自殺)、黒い牝犬に追われて噛みつかれる(蕩尽)
  第3円 神に対する暴力:ソドム(男色者)、カオール(高利貸)→火の雪を浴び
                                  る
  

第八の圏谷 悪の濠(マレボルジェ)10種類の欺瞞の罪

  第1の濠 女衒(ぜげん)→鬼に鞭打たれる
  第2の濠 阿諛追従(あゆついしょう) こびへつらい→糞尿の中に漬けられる
  第3の濠 聖職売買→頭を穴に入れられ燃える両脚をばたつかせる
  第4の濠 魔法魔術(未来を占う)→胴の上に頭を後ろ前につけられ処罰される
       (後ずさりしつつ進まなければいけない)
  第5の濠 汚職収賄→煮えたぎる瀝青(チャン)の中に漬けられ、鬼に鉤で
       引き裂かれる
  第6の濠 偽善→表は金きせだが裏は鉛の重たい外套をまといのろのろと
       歩かされる
  第7の濠 窃盗→毒蛇に咬まれ燃え上がり灰になってもとの姿にもどる
  第8の濠 権謀術策→炎にくるまれ焼かれる
  第9の濠 分裂分派→身体を一刀両断される(因果応報)
  第10の濠 虚偽偽造→病気にかかってのたうちまわる(悪臭、腐敗)

 
第九の圏谷 氷の国コキュトス  裏切り 氷漬けになっている
  第1円 カインの国カイーナ:肉親に対する裏切り(弟アベルを殺したカインに
           由来)
  第2円 アンテノーラ:祖国に対する裏切り(トロイアの敗北はトロイア人アンテ
                   ノルの 裏切りによる)
第3円 トロメーア:客人に対する裏切り
  第4円 ユダの国 ジュデッカ:恩人に対する裏切り



凄いわ。
なんともグロテスク。
映像(絵画)では見たくない。

ちなみに、記事の題名は 拝金主義の現代において問うてみたいこと。


地獄を出て次は、煉獄・・・
posted by さちこ at 13:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 文学 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Lunaです。 こんにちは。遊びに来ました

 読まれている『神曲』は、平川祐弘氏の訳とおもいますが、確か大学生のころ(4半世紀以上前)特別講義を受けたのがこの先生だったと思います
(確かではない。マンゾー二の『いいなづけ』は確かにこの先生だったが)

 数字へのこだわりも説明してくれて、3とか3の二乗の9という数字へのこだわりを説明してくれたことを覚えています。 曰く
・3行で1連となっていて、韻がABA,BCB,CDCと踏まれている
・地獄、煉獄、天国の3部構造。各33編ずつ。序章をいれて、全体で100編の完成数としている。
・地獄のたびが9日、地獄・煉獄は9層からなる

 などなど。内容もすごいですが、形式美もすごくて、とても感心したことを思い出しました。

 内容は有名なフランチェスカとパオロなどを除いて、もうすっかり忘れているので、「額に汗せず生計」を立てられるころになったら(=サラリーマンの年季を明けるころ)、またいつか読み返してみたいです。

P.S. 大変なお仕事ですね。私は門外漢なのですが、医療関係者には頭が下がります。
Posted by Luna at 2022年05月05日 22:27
Lunaさん、こんばんは。

ようこそおいで下さいました。
興味深いコメントありがとうございます。

そのような特別講義、受けてみたいものです。
3にまつわる美、それは音楽のようにも思います。原文に触れるとよくわかるのでしょうね。

このご時世、大変なお仕事ですね、とよく言われるようになりました。
まあでも、どのような仕事でも大変でしょうし、今 凄く注目されている時期なのだと思います。

この文庫本、大変読みやすいです。
Posted by さちこ at 2022年05月06日 20:55
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