「神曲」地獄篇 ダンテ著 平川祐弘訳 河出文庫 読了。
地獄の圏谷(たに)と罪を記しておく。
地獄の9つの圏谷(たに)と罪
第一の圏谷 リンボ 受洗しなかった人
第二の圏谷 肉欲→地獄の飈風に吹き回される
第三の圏谷 大食→怪物ケルベロスに食らい散らされる
第四の圏谷 貪欲と浪費→円周状の道の上を重たい荷物を転がしながら
互いに逆方向に向かって進み、出会い頭に罵り
殴り合い、を繰り返す。
第五の圏谷 下層界デイースの市(まち)へ 怒り→ステュクスの沼で泥まみれに
なり猛り狂う
第六の圏谷 異教異端の徒→派毎に埋められて焼かれる(火を噴く墓)
第七の圏谷 暴力
第1円 他人に対する暴力:殺人強盗→血の河プレゲドンで熱湯責め
第2円 自己に対する暴力:自殺、蕩尽(とうじん)→節くれてひね曲がった樹と
なる(自殺)、黒い牝犬に追われて噛みつかれる(蕩尽)
第3円 神に対する暴力:ソドム(男色者)、カオール(高利貸)→火の雪を浴び
る
第八の圏谷 悪の濠(マレボルジェ)10種類の欺瞞の罪
第1の濠 女衒(ぜげん)→鬼に鞭打たれる
第2の濠 阿諛追従(あゆついしょう) こびへつらい→糞尿の中に漬けられる
第3の濠 聖職売買→頭を穴に入れられ燃える両脚をばたつかせる
第4の濠 魔法魔術(未来を占う)→胴の上に頭を後ろ前につけられ処罰される
(後ずさりしつつ進まなければいけない)
第5の濠 汚職収賄→煮えたぎる瀝青(チャン)の中に漬けられ、鬼に鉤で
引き裂かれる
第6の濠 偽善→表は金きせだが裏は鉛の重たい外套をまといのろのろと
歩かされる
第7の濠 窃盗→毒蛇に咬まれ燃え上がり灰になってもとの姿にもどる
第8の濠 権謀術策→炎にくるまれ焼かれる
第9の濠 分裂分派→身体を一刀両断される(因果応報)
第10の濠 虚偽偽造→病気にかかってのたうちまわる(悪臭、腐敗)
第九の圏谷 氷の国コキュトス 裏切り 氷漬けになっている
第1円 カインの国カイーナ:肉親に対する裏切り(弟アベルを殺したカインに
由来)
第2円 アンテノーラ:祖国に対する裏切り(トロイアの敗北はトロイア人アンテ
ノルの 裏切りによる)
第3円 トロメーア:客人に対する裏切り
第4円 ユダの国 ジュデッカ:恩人に対する裏切り
凄いわ。
なんともグロテスク。
映像(絵画)では見たくない。
ちなみに、記事の題名は 拝金主義の現代において問うてみたいこと。
地獄を出て次は、煉獄・・・
2022年04月29日
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読まれている『神曲』は、平川祐弘氏の訳とおもいますが、確か大学生のころ(4半世紀以上前)特別講義を受けたのがこの先生だったと思います
(確かではない。マンゾー二の『いいなづけ』は確かにこの先生だったが)
数字へのこだわりも説明してくれて、3とか3の二乗の9という数字へのこだわりを説明してくれたことを覚えています。 曰く
・3行で1連となっていて、韻がABA,BCB,CDCと踏まれている
・地獄、煉獄、天国の3部構造。各33編ずつ。序章をいれて、全体で100編の完成数としている。
・地獄のたびが9日、地獄・煉獄は9層からなる
などなど。内容もすごいですが、形式美もすごくて、とても感心したことを思い出しました。
内容は有名なフランチェスカとパオロなどを除いて、もうすっかり忘れているので、「額に汗せず生計」を立てられるころになったら(=サラリーマンの年季を明けるころ)、またいつか読み返してみたいです。
P.S. 大変なお仕事ですね。私は門外漢なのですが、医療関係者には頭が下がります。
ようこそおいで下さいました。
興味深いコメントありがとうございます。
そのような特別講義、受けてみたいものです。
3にまつわる美、それは音楽のようにも思います。原文に触れるとよくわかるのでしょうね。
このご時世、大変なお仕事ですね、とよく言われるようになりました。
まあでも、どのような仕事でも大変でしょうし、今 凄く注目されている時期なのだと思います。
この文庫本、大変読みやすいです。