「悲劇の誕生」ニーチェ著 秋山英夫訳 岩波文庫 1966年6月 第1刷 1987年11月 第24刷読了。
いえ。
読了などと表現するのはおこがましい限りだ。理解出来たわけでも、ましてや自分のものに出来たわけでもなし。ゆえに以下は私の単なる感想文。
*****
アポロ的とディオニュソス的という美学上の対立概念は本書に始まる。ギリシャ芸術の底にペシミズムを見た若きニーチェの処女作。
アポロ的、ディオニュソス的、そしてソクラテス的。
ギリシア悲劇の「誕生」と「死」と「再生」を主題とする。
とにかくなんだか凄いね。
批判といいますか、攻撃といいますか、過激、凄すぎ・・・静かに笑うしかない。
自己批評の試みには、
これはやりきれない本だ。
とある。
出版された当時の反響と評価は散々だった。ワーグナーがほめた以外は、当然ながら学会から完全に黙殺された。
しかし名著はおのずから光を放つ。
日本では、西田幾太郎、南原繁、岡本太郎、吉田秀和も評価をしている、とのこと。
そういえば、吉田秀和のロングインタービュー(季刊誌 考える人 2007年夏号)に 音楽について書くことの一つのきっかけになったのはニーチェーの「悲劇の誕生」だった。
とあるね・・・。
支離滅裂なれど、凄まじいエネルギーを秘める作品といえる。
処女作ってこういうものか。
科学と芸術と哲学が、ぐるぐるまわる・・・。
ちなみにこの本を読んでいるとある人に伝えると、「ニーチェなんてツァラトストラ(は かく語りき)さえ読んでいればいいのよ」と言われた(笑)
え・・・・。
私、読んでない。読めって・・?
2022年12月18日
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若い頃に・・・そうでしたね。
影響を受けた人が多いようです。
本って、読む時期で印象が全く違うから面白いですね。
「ツァラ…」より良い印象・・・ですか(笑)
若い頃、私の先輩が、ニーチェおよび西尾幹二氏を敬愛していて、さかんに読むことを勧められたのですが、私には難しすぎて数ページ読んで諦めたことをよく覚えています。
ワーグナーは大好きなのですが、ニーチェはこの「悲劇の誕生」の中で、彼の芸術を讃えていたと聞いています。しかし、その後ワーグナーの俗物性に嫌気がさし、執拗に攻撃を加えていたというのも有名なエピソードで、その面からも興味ある書物なのですが.... (確か、最期には「カルメン」がオペラの完成形といっていたと思う)
ドイツ文学は大好きですが、その親戚たるドイツ哲学が苦手なのはなぜでしょうね?
Lunaさんの若い頃、興味深いです。
音楽するなら、読んでおこうかと思いつつ、また難しい難しいと思いながら、読むのも面白いのではないかと、今回思いました(笑)
ドイツ文学、お好きですか。
好きなものがあるというのは良いですね。